ベッドのシーツ掛けが面倒臭いのでこうしたらどうか
ベットのシーツ掛けが非常にめんどくさい。なぜかと考えると、ベッドのシーツの四隅に布団を入れる、その行為が究極に面倒なのだ。
そこでふと思いついた。
全て、マルにすれば良いのではないか?
シーツはマル型
ベットもマル型
布団もマル型
さらに人間も丸まって寝れば良いのだ。
わたしは適応できる自信がある。と言いながら四角いベッドで寝起きし、これからもシーツ替えのたびにぶつぶつ言うだろう。
口の臭い同僚と働く
営業部のあの男。
小太りで背は低め、優しげな顔にメガネがちょんと乗っている。清潔な半そでワイシャツから、日焼けしていないぽっちゃりした腕が覗く。
年は30半ばくらいだ。頑張り屋だけど、人を蹴落としてまで出世したくもない。だから彼はずっとちょっと不器用だけど、いつもニコニコ仕事をする。
ただ、彼には別の一面がある。
口内環境が無法地帯なのだ。
洋画に例えるとこれ:
要するに、めっちゃ口くさい。もう死にそうなレベル。
胃の中から上がってくる匂いではなく、歯と歯の隙間の汚れが臭っている。
私は、命を削りながら彼との会議に参加し続けた結果、少しだけだが匂いの分析ができるようになってきた。
それは、焼肉臭、アルコール臭、ペペロンチーノ臭、餃子シュー、たばこシュー、の類ではない。彼の場合は、「歯と歯の間でネズミが死んでミイラ化したチュー(臭)」だ。私が犬でなくてよかった。
ちなみに彼は営業として平均的な成績らしいのだが、どうやって契約をとっているのだろう。
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黒いビジネスカバン、幅広のビジネスシューズ、薄いグレーのスーツに紺色のネクタイ。
オフィスビルの風景に溶け込んだ彼は、にっこりと笑顔を見せ、受付を通る。会議室へ着く。受付から連絡を受けた先方の担当者が入室する。
ガチャ
今だ、客先での第一声は、相手ではなく、こちらの元気いっぱいな挨拶でなければ。
「どうもお世話になっておりますウウウ フウウウウ」
爽やかに名刺を差し出す。
「今日はどうも、お時間割いていただいてありがとうございましたあああ ファアアア」
担当者は差し出された名刺をようやく受け取る。すでに突然のめまい、吐き気、寒気と脱力感が彼の体を襲い始めている。
ここからが勝負だ。
準備してきた説明を早口でまくし立てる。変な沈黙ができると余計に緊張してしまうからだ。
「前にお送りしたものはあくまでざっくりしたパッケージ案のご提案でしたので、あの後いただいたご要件書から社内で詰めさせていただきまして、貴社の案件管理システムとも十分連携して運用いただけるようなカスタマイズ案を検討してまいりました。こちらの資料でまず内容をご説明させていただいて、のちほど開発スケジュールの面で少し確認させていただきたいことなどお伺いさせていただ」
担当者は相槌も適当にうつ向いたままだ。カップを口元に持ってきたままフリーズしている。
しかしもちろん、コーヒーの香りでごまかせるようなレベルではないのだ。
くさい
くさい
くさ過ぎる
説明が頭に入ってこない。
手が汗ばむ。一方で背中はぞくぞくと寒い。
説明はやはり何も入ってこない。
15階のミーティングスペースでは、窓を開けることができない。
もうやめてくれ。もう何も話さないでくれ。もう、その口をホチキス止めしてビニール袋に入れて、帰ってくれ―――
殺される…!
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制作と営業は時々衝突するけれど、営業さんが仕事をとってきてくれるのはやはりありがたいことだ。
「ありがとうございます。例の契約取れたんだそうですね!では今度電話会議でキックオフしましょう」
最近、電話会議がどんどん一般的になってきている。よかった。
大金持ちの美女がパーティーへ行くときの持ち物リスト
わたしが超大金持ちの美女だったと仮定して、パーティーへ行くときの持ち物リストを作ってみました。
持ち物リスト
- プラチナカード(ドレスの下、太ももに付けたバンドにスッとスマートに挟まれている。あるいはなぜかブラジャーの中に納まっている)
- 金歯(万一戦争が起きて身ぐるみ剥がされた場合の緊急資産)
- イブサンローランの口紅(中身はオフショア銀行口座へのアクセスコードが入ったチップ)
- スワロフスキーでデコられた非常に不便な高級ブラジャー
- 意味不明なデザインのひも状の高級パンティー
- パパにプレゼントしてもらった香水
- 最近パパが婚約した例のアジア女(金目当てのコソ泥娘)に体裁上渡す誕生日プレゼント(中身は無難にクルーズ旅行)
「スマホ」とか「モバイルバッテリー」とか「財布」とか「パーティの招待状」とか「ハンカチ」「ティッシュ」は付き人が用意しているので必要ありません。
…
…
よくアメリカのアクション映画で見かけるパーティって、どうしたら参加できるんでしょうか。
っていうか皆イブニングドレスみたいなのを着て、トム・クルーズみたいな男がランダムな美女と目で会話してダンスするようなパーティって本当にあるんでしょうか。
…持ち物リストを作る意味はあるのでしょうか。
今やろうと思ってたのに、と怒られても
編集ご担当者様
はじめまして、読者の親として一言言わせてください。
先日、貴社雑誌『いやほんと勝手に部屋掃除するとかありえないからッ!』3月号の緊急アンケート特集を拝見しました。
中高生に聞いた「家のおっさんおばさん(父母)がまじウザいと思うとき」というアンケートで上位にあった、
『「○○しなさい」「○○したの?」と、今やろうと思ってたのに言われたとき』という回答に対して、まったく納得いきません。そしてその、親にとってはまさに珍回答としか言えない結果について、「あるある」と同調するかのような編集者コメント。これには唖然としました。
ご担当者の皆さん、
「どうやら今やろうと思ってるようだなあ」…... って、どうやったら分かりますか。
子どもたちが朝のクソ忙しい時間に15分もかけて角度調整した前髪、あるいは意味不明なレベルでこだわる靴下の長さだかワンポイントだかにヒントがありますか?分かる方法があるならぜひ知りたいものです。
これは親に対して無理ゲーなだけでなく、
子ども自身が「今やろうと思ってはいたけど、実際まだやり始めてはなかった」という事実を認めることから逃げさせ、
また子ども自身が、親に対して「生み育ててくれた感謝はあるけど今何かを指示されることに対してわたしはコレコレこういった憤りを感じている」、という説明をすることから逃げさせているのではないでしょうか!
来月号から改善を求めます。
ついでに雑誌のタイトルもどうかと思います。
PS: ただ、2月号のバレンタインデー特集で、「彼氏もだけどお父さんにもチョコっと忘れずに」というコメントはほろりとしました。わたしもパパなんで。
娘だいすきなんで。
サ行とタ行の滑舌が悪い人と和食を食べる
サ行
しゃあしゃあ おばあしゃん みしょしゅる 召し上がれ
いえいえ お前しゃんがおしゃきにどうじょ
しゃめないうちに、わたしぇはおしゃけがあれば十分でしゅから しゃっ どうじょ!
タ行
このちゃくわん 遠慮のかちゃまりになっちぇるわ
うーん わちゃしにはちょっちょかちゃかっちゃけじょね
あら ちょーお?
わちゃしは もうちゃべ過ぎじゃわ〜 でもじゃれもちゃべないなら いちゃじゃきま〜す
サ行&タ行
ごちぇしょうしゃまでしぇちゃ!!!!!!!
国語の授業で恥をかくところを助けてくれたあの男子
小学6年生のころ。
ナガサワ君という頭のいい同級生がいました。
わたしもこの頃頭がよさそうと時々言われていましたが、小学生が小学生に言う「頭がよさそう」はイコール「暗そう」を意味していることが多いという厳しいリアル。
わたしはこっちの方の「頭よさそう」であり、
このころからすでに「人はみな、おのおのの魅力を持っている。が少なくともわたしはクールではない」という自覚がありました。
あ、いや今回はクールかクールじゃない話ではなくてナガサワ君と国語の授業の話をします。
ちなみにナガサワ君、とカタカナで書きましたが彼は日系人転校生ではなくて日本で生まれ育った両親のもと日本で生まれ育った少年ですがナガサワのサワの字が難しい方のサワだったかどうか思い出せないだけです。
さて、小学校6年生の頭良さそうなわたしは、国語の授業を受けていました。
その日は敬語を学ぶ授業で、先生が「これ尊敬語で言える人ー」といくつかの言葉を指して言いました。
・食べる
・来る
・見る
・読む
わたしの脳はすぐにこれらを敬語に変換し、けれどすぐに手をあげるのも何となくいやらしいかと、もじもじしながら周りを見回しました。
その時、ナガサワ君が手を挙げ、淡々と答えを言いました。
ナガサワ君の答え:
・食べる→召し上がる
・来る→お出でになる
・見る→ご覧になる
・読む→お読みになる
あっ…!
わたしはそれを聞いて、わたしの答えが間違って、いやもうズレッズレだったことを知りました。
実際あっ、とは言いませんでしたが、ラッぐらいは言っていたかもしれません。
わたしの答え:
・食べる→食べなさる
・来る→来なさる
・見る→見なさる
・読む→読みなさる
すべての語尾に「さる」付けただけというすごいバカ!
ナガサワ君が先にさらっと回答してくれたおかげで、わたしが大勢の前でサルサル言う事態が避けられました。
日頃から頭良さそうと評価されていると、バカが露呈する際に割り増しで大事故になる可能性があります。
ナガサワ君その節はありがとうございました。わたしは今は特に頭良さそうと言われない大人になっています。
ヘッタクソで意味不明な怪談話
コンタクトレンズ屋に併設された眼科で働く眼科医、ケイ。
勤めて5年。畳三畳ほどの小さいブースに仕切りがカーテンといった簡素な作りの職場で、ただ淡々と同じような診察を繰り返す。
4番にお入りください。
白いところに顎を乗せてください。
ちょっと失礼しますね…。
下見てください。
上見てください。
何か気になることはありますか。
乾燥ですね、目薬出しておきましょう。
かゆみがあるんですね、目薬出しておきましょう。
ドライアイですね、目薬出しておきましょう。
目がゴロゴロするんですね、目薬出しておきましょう。
ただ、その日は違っていた。
4番にお入りください。と何千回と繰り返した言葉の後で入ってきた患者には、なんとなく人間離れした奇妙な雰囲気がある。ケイはさっきまでの眠気が覚め、嫌な予感とともに診察を始めた。
「ニャー」
ケイは、はっとした。
これまで数えきれない数の患者を診てきたが、「ニャー」と言われたことは一度もない。
「ニャーゴ」
相手はケイの戸惑いを知ってか知らずか、構わず続ける。
「ゴロニャア」
ケイは動転したものの勇気を出して続けた。
「目の状態を見てみましょう。白い台に顎を乗せてください」
いつも自動的に繰り返している言葉だが、今回はちゃんと考えながら発する。
患者は顎を白い台に乗せ、機械を両目でのぞき込むようにして目を見開いた。
「では診てみます…、下を向いてください…」
「ミャア」
…あっ…!!
処方箋の上で指が震える。気づけば背中がじっとりと汗ばんでいる。
ば、化け猫ー!!
ニャンニャン、ニャンゴー
ケイの目がみるみる恐怖の色に染まる。
ゴーロゴーロ!!
ミャーオ!
シェーッ!!!
シャッシャッシャッ!!!
それ以来、この眼科医の姿を見たものはいないという…。
END
以上、ヘタクソで意味不明な怪談でした。書いていてとても楽しかったのでたぶんまた書いてみます。